母からの手紙

先日の里帰りの時の荷物を、宅急便で送ってもらった。クリーニングに出してくれた服やお土産のほかに、私の小さい頃のアルバムが入っており、間に「31年前の手紙です」と題された便箋3枚の手紙が挟まっていた。31年前、当時28歳の母が自分の叔母に出産祝いのお礼に綴った手紙。思い出のものはいろいろ取っておく性質の母だけど、さすがにどうしてそんな手紙が残っていたのかわからない。コピーではなくて直筆だし。書き上げたはいいけれど、何らかの理由で送るのを止めたものだろうか。
20代とは思えないほどの大人びた字で、生後間もない私がミルクを良く飲んでマンモスベビーであるとか、弟(私から見ると叔父)が仕事を辞めて帰ってきたとか、父が毎晩仕事で遅くなって大変そうとか、当時の様子が綴られている。

今の私よりも若い28歳の母がどんな思いで私を育てていたか、文字の間から少し垣間見える。私の母は「妻」としては100点満点だけれど、「母」としては隙とか空回りも多い人で、私はこの歳になっても子供のように反発してしまうのだけれど、なんというか、母も完璧な大人じゃないんだよなあ。自分の分身かとも思えるような女の子を授かって、初めての子育てで、毎日泣いたり笑ったりしながら30年の月日を過ごしてきたんだろう。
私にとっては、一番理解したいのに一番遠いキャラが母親だ。でももう私も子供ではない。少なくとも母の両手が無ければ生きていけなかった0歳児ではない。甘えて反発してないでもっと歩み寄ろう。母の隙や弱さを認めたい。手紙の中の20代の母に会って、そう感じた。

紙から昭和の臭いがする。若い母と父の息遣いも、伝わってくるみたいだ。<追記>
手紙の出土元が解った。受取人の叔母は今月地元で亡くなったのだけれど、遺品の中から出てきたものだという。母が書いた手紙が叔母に渡って、今私の手元に来てるくるくるリサイクル!浪漫感じるわあ。